会長挨拶


会長 山形 光正
(トヨタ自動車株式会社 水素ファクトリー President)

 燃料電池実用化推進協議会(FCCJ)は、2001年の設立以来、国のご指導、ご支援を頂きながら、会員企業の総意にもとづき定置用燃料電池並びに燃料電池自動車及びそのための水素供給インフラの実用化・普及に向けた取り組みを推進してまいりました。
 その成果として、家庭用燃料電池「エネファーム」が世界に先駆けて商品化され、出荷台数累積が50万台を超えるまでに成長してきました。また世界の先陣を切って一般ユーザーへの販売が開始された燃料電池自動車は国内で8,000台程度が普及し、商用水素ステーションも約160箇所の整備が進むなど、着実に実用化が進展してきています。
 こうした実用への展開が進む燃料電池・水素供給インフラについては、2019年3月に改訂された経済産業省の水素・燃料電池戦略ロードマップにおいて、2030年以降の本格普及期に向けての具体的目標や戦略、アクションプランが示されていますが、その目標達成には実用的な技術・コストの見通しや規制・制度といった社会環境整備等に多くの課題が依然山積しており、これら諸課題解決の取り組みが不可欠です。また、2023年2月に閣議決定されたGX 実現に向けた基本方針や6月に改正された水素基本戦略において、新たに水素・燃料電池の長期的な役割・方向性が明確に示されるなど、期待は一層高まっています。
 燃料電池と水素供給インフラは開発に着手して以来、様々な課題を乗り越え世界をリードする形で実用化の緒にこぎつけましたが、この革新的新技術がわが国の今後の環境施策において新しいエネルギー供給・利用体系となり、カーボンニュートラルを目指した水素社会の実現並びに今後の産業競争力の強化に貢献していくためには、一層の技術開発と普及拡大の取り組みにこれまで以上の努力が必要です。

 今後とも、当協議会は、燃料電池の実用化と普及により水素社会の実現を果たすべく、会員企業自らが課題解決に取り組むとともに会員相互の連携・協力を推進し、併せて会員の総意を政策提言としてとりまとめ、国の政策・施策に反映いただくよう活動を推進してまいります。

 皆様のご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。

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